米ジュールの電子たばこ製品=ロイター
【ニューヨーク=西邨紘子】米電子たばこメーカーのジュール・ラブズは7日までに、複数の州・自治体や消費者などが原告の訴訟5000件で和解したと発表した。若年層を焦点とする販促などの商慣行が、未成年の電子たばこ使用まん延を招いたとして訴えられていた。同社は事業継続に向け、残る訴訟案件についても「現在進めている話し合いを継続する」と説明した。
和解金の額など具体的な合意の内容は非公表。支払い能力について「既に必要な資本を確保した」(ジュール)と説明した。
米国では近年、未成年者の電子たばこの使用まん延が社会問題となっている。米疾病対策センター(CDC)と米食品医薬品局(FDA)による直近の調査では、22年の1~5月に「電子たばこを吸ったことがある」と回答した米高校生は約14%だった。
ジュールは電子たばこの発売当初、デザートや果物などの風味付き商品を拡充し、若年層にターゲットを当てた販促で販売を急拡大した。だがその後、同社の販促手法や商慣行が未成年の喫煙拡大を招いたとして全米で訴訟が相次いだ。21年にはノースカロライナ州と和解金4000万ドル(約55億円)の支払いで合意。22年9月には、33州およびプエルトリコと計4億3850万ドルの和解金支払いで合意している。
FDAは6月、安全性への懸念を理由にジュールの電子たばこ製品の米国内販売を禁止した。ジュールがこれを提訴し禁止命令は一時差し止めとなったが、同社の事業継続の行方に不透明感が高まっている。
Post time: Jan-09-2023